漫画・本レビュー

村田沙耶香 信仰 レビュー(ネタバレ注意)面白い?面白くない?

信仰はコンビニ人間のように、流行りとは違うけど、ちゃんと今どきというか流行りのようなものにコミットしている気がして、だから幅広い年齢層の方に凄く刺さる内容だと思う。流行りに乗っている感じは全くしない。でも新鮮で凄く面白い。

流行りのようなものを言語化するのは難しいが明らかに他の人とは違う空気感がある。

マルチをやっている人に嫌悪感を抱くことはあっても、何かポジティブというか明るい気持ちで向き合ったことはなかった。私も友達にマルチの勧誘をされたし、知り合いでマルチをやっている人もいる。
普通に生活をしていて、あの嫌悪感は抱かない。

だから「私を騙してみて」みたいな向き合い方をする主人公に何か信仰心のようなものがあるように思えたんだけど、もしかしたら「私が騙されるわけないだろ」みたいな強い自信のようなものがあったのかもしれない。

だとするとやっぱりその信仰というのは、現実というより、もっと、生きているということとイコールな気がしないでもない。

生きるということは矛盾そのもので、森羅万象をコントロールすることは出来ない。でもコントロール出来る部分はコントロールしたくなるものだ。
そこにすでにカルト性が含まれているんだけど、もっと本質的なのはやっぱりカルトと認定する人にある。
だって、色々な人がいる。
それを受け入れられないのには勿論理由があって、犯罪とかが絡むと受け入れられない。
それは分かる。でも同時に何に対しての信仰心なんだと思う部分はあるし、勧誘されたときのような独特の嫌悪感がある。
詐欺に遭っている気さえする

めちゃくちゃ高い金額で売られているブランド品と、マルチの浄水器の違いが分からないのと似ていて、生きていることに関しては本来善悪なんてないはずなのに凄く善悪を求めようとする風潮がある気がする。そこに信仰心やカルトを感じるのは私だけだろうか。

神を信じない人がアメリカでも増えているらしい。
わかりやすい信仰の対象が失われている今だからこそ、信仰というものはネガティブなものに変容している気がする。
ネットとかで『信者』と煽られてる人を見るともうとっくの昔に変容を遂げた気もするが……

とにかく、カルトと認定する人と信仰する人とで違いはなく、
善悪もない。
というようなポジティブな気持ちを、なるべく持って前向きに生きたいと思えた。
まさか最終的に、ここまでポジティブになれる内容だとは夢にも思ってなかった。
この本は何らかの賞を受賞すると私は思う。

 

読んだ方の評価

「村田早耶香さんの作品はシュール過ぎて苦手だったけれど、キンドルでサンプルぶん読んでいったら思わず最後まで読ますにいられない気持ちになった。
この辺が作家としての才能何だと思った。面白いし、村田早耶香さんは天才だと思った」

 

「表題の「信仰」が面白い。
ビジネスとして宗教を始める男と、バカにする女。
騙されているのか本当に信じているのか分からない女。
みんな一筋縄でいかない個性を短編で上手くまとめている。
ラストの話も良い。

好みにより多少の当たりはずれはあるものの、軽く読めて面白い」

 

「①著者の作品を読むのは『コンビニ人間』以来であり、今回も素晴らしかった。第一短編「信仰」は、カルト教団そうせつに関与する主人公と開祖、真面目な女性との関係を描くものだ。主人公は「夢や幻想」にとりつかれ無駄遣いする人間を「現実」に連れ戻す役割を正義と見なし、カルトと闘うことを使命と心得、知人女性を「現実」に連れ戻そうと試みる。
②しかし、「現実」だけの人生は味気ない。詰まらない。そこでカルトへ潜入する。知人女性は浄水器の販売の失敗を天動説体験を売り物にリベンジしようと試みる。さて物語はどうなるか?これ以上は書けないが、この小説の問題提起は、人は騙されてカルトに入信するのではない。騙されていることを承知の上で教祖を狂信する。嘘でもよいから誰かを信じたいのである。そのためなら金を惜しみ無く遣うのも惜しくない。
この心理を堪能できるのが、この短編の面白さである。よくてきた小説だ。
お勧めの一冊だ。」

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